昨日は議員研修で、藤沢市民病院副院長であり神奈川県健康医療局医療危機対策統括官の阿南英明氏の講演がオンラインで行われ、大変意義ある研修になった。
あのダイヤモンドプリンセス号への対応に、国県等の役割分担が不明確で混乱する渦中に指揮を執り、国が新型コロナを災害指定しない中でも災害派遣医療チームDMATを起動させるなど、当時の切迫した体験、それに基づく教訓から一貫した神奈川モデルを提唱。
感染症対策が経済活動との両立を求められる中では、患者の命を守ることと医療体制の崩壊を防ぐギリギリのバランスで舵取りを求められており、早くから移行期・蔓延期に向けて軽症または無症状者の受け入れ先を自宅や宿泊施設等へ、中等症者を重点医療機関、重症者を高度医療機関へと振り分ける神奈川モデルを発動。
先行した見立てで「80%は風邪」であり、この人たちがベッドを埋めてしまうのを回避、隔離のみが必要と判断。一方では、陰性でもリスクの高い高齢者等は守るべく、日々の症状確認では電話だと時間も労力もかかるので、自宅待機の人にもLINEであれば日に2回様子を集約できるとデータの収集から共有までをSNSやITを積極的に活用しながら神奈川県内の医療体制の統一、均てん化も図られるという成果を生み出した。
今後のインフルエンザ流行期を迎えるにあたって、発熱患者が藤沢市内だけで1100名発生する想定の下に、一般の診療所やクリニックが発熱診療に参加してくる必要性、促す手立てを講じ、コロナとの複合的な対応について先を読んだ体制作りを国に対して引き続き提案している。
限られた資源をどこに集中させるか。改めてPCR検査への評価をはっきりさせておくべきところだと考えているのであろう。阿南氏のまとめた資料からPCR検査を巡る評価を特に抽出しておきたい。(グラフに注目願いたい)
「回復後のPCR検査は無意味」と断じるのは、死んだウィルスにも反応するので陽性が出続けても感染のリスクは低いことが明らかになってきていること。逆に発症してから隔離しても、実は発症前2日から発症後5日までに他人に感染を及ぼしていることも分かってきており、「入店前に検温してもそれはパフォーマンスに過ぎない」とも言い切る。つまり、PCR検査はその瞬間だけの判断であり、検査して陰性の翌日に陽性にもなるということ。
東京都で提案されるとの条例の愚かさは言わずもがな、検査に対する適正な理解は、広く市民にも周知されるべきだと考え、取り急ぎ報告するが、市民病
院の副院長でもある阿南氏の話を藤沢市としても周知するように市コロナ対策本部に要請した。
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